神戸市立若葉学園 幸田 邦子さん

目次
自己紹介をお願いします。
はい。兵庫県にあります、児童自立支援施設 若葉学園で寮母をしています、幸田邦子と言います。よろしくお願いします。15年目になります。
児童自立支援施設で、働こうと思ったきっかけは?
私はここに来る前、児童養護施設で働いてたんです。働いていく中で4年目ぐらいになると、自分のやりたいこととかが明確になってきたり、だけど交代制でチームで組んでやってるけど、その中で足並みが揃わなくなったりとかもあって、迷いも出始めた頃に若葉学園で働く主人と出会ったっていうタイミングがありました。あと、養護施設で働いてると、こどもたちが「先生、次いつ来るん?」って言ったり、「次に何勤?」って聞かれたりというのが、答える時にいつも申し訳ないような気持ちになったり、一番くらったのが「先生、どうせ帰るやん」という言葉が一番ズシンと来てて。それもずっと心の中にあって、じゃあ帰らない、ずっと一緒にいるってどうなるんだろうっていうのも思ったし、そのタイミングで夫婦制の話を聞いて、ああ、ここだったら自分のやりたいことができるんじゃないかなと思ったのと、結婚のタイミングが一緒だったのが児童自立に来たきっかけです。
児童養護施設との違いで困ったことは?
2人で全部しないといけないことかなと思います。一番やりやすい形ではあると思うけど、やっぱり何かあった時は2人しかいなくて、寮って助けてもらえないと思うんです。助けたいと思ってくれてる人もいるし、助けてもらいたいとも思ってるけど、結局こどもたちと向き合ってやらないといけないので、2人でやるしかない部分があるので、そこは一番しんどくもあり、一番面白いとこなのかなとは思ってますね。
この仕事の大変なところは?
2人ぼっちになること。寮がしんどい時に、ほんとは多分手も差し伸べてもらってるんですけど、それも見えなくなっちゃったり、助けてが言えなくなっちゃったり。それは年齢追うごとになんですけど、若い時は「助けて助けて無理」って言えたのが、年々言いにくくなったりとか、変な気負いも感じちゃったりとか、うまくヘルプを出せなかったり、2人ぼっちな感じがしてしまう時が一番辛かったかな。でも本当に2人ぼっちじゃなくて、助けてくれようとしてる人は多分たくさんいるんですけど。すごい矛盾するんですけど、結局、助けてくれたのは人だなと思ってるんですけど、矛盾してるからすごくうまく言えないんですけど、うん。
全然関係ない仕事じゃない話とか、私はすごい先輩の保母先生たちに恵まれてたので、それを話を聞いてもらったりとか、やっぱり人に助けてもらったなっていう感じですね。
全然関係ない仕事じゃない話とか、私はすごい先輩の保母先生たちに恵まれてたので、それを話を聞いてもらったりとか、やっぱり人に助けてもらったなっていう感じですね。
この仕事のやりがいは?
やりがいも今だから言えるのかもしれないけど、やっぱりこどもたちが返してくれるので、私は卒園生からもらうことがやっぱり多くて。よく先輩に入ったばかりの頃、「3年待て」って言われたんです。「3年頑張れ。3年経ったら卒園生が返してくれるから」って言われてて、中1だった子は中3になって学園来てくれて励ましてくれるからって風に言われて。でも実際やっぱり卒園生から貰う言葉とかに励まされてるのと、10月ぐらいにいつも辞めたくなるけど、3月の卒園式でフル充電させてもらう感じで、送り出す時ってもう、その1年のその子の表情が全部浮かんでくるし、泣き顔もね。その時にやってて良かったなって思うのがやりがいかな。日常ではあんまり感じないですね。
母親と寮母との違いでの苦労は?
私あんまり苦労してない方だと思うんですけど、長男が産まれた時が一番戸惑って。一番戸惑ったっていうのは、今までずっと寮の子と一緒にいた時間が、実子が生まれることによって持てなくなるのが不安だったし、こどもたちから「この子が生まれたから保母先生来なくなった」って思われるのは絶対嫌だったしってことで、その時にぐっと生徒優先にしたんです。それが一番辛かったかな。お腹すいて泣いてるのをちょっと待たせたりとかが多くて、そういう両立が苦しい時に当時の園長先生にその悩みを話したら、「何にもせんでええ」って言われたんです。
その「何にもせんでいい」っていうのは女子寮、特に女子寮で近い将来お母さんになる子達に、妊娠出産で生まれたての赤ちゃんを抱っこする、おむつ変える、そんなのを見せてあげる。こんな生きた教育できるの、ここしかないからなと言われたんです。それだけで十分仕事しとるから、「何にもせんでええ」って言われて、「生活してたらいい、それがあんたの仕事や」って言われたのがすごい救いで。そっから「あ、そっか」って思って、この赤ちゃんを連れて一緒に女の子達と一緒に過ごす。おむつも一緒に変えたし、ミルクも飲ませてもらったし、みんな恐る恐る「怖い」って言いながら抱っこしたり、「ちっちゃい」って言ったり、お腹が動くのも一緒に触ったりもしてたし、「今動いたな」とか言って「すごい」ってみんなでお腹触ったりとか。それができたのはすごく大きかったし、生まれてからも、生徒をすごく大事にしてたら、生徒が我が子を大事にしてくれるんです。
絶対その循環ってあると思ってて、私が多分自分のこどもばかりだったら、生徒の気持ちは離れちゃったんだろうけど、もうどんどん巻き込もうと思って。だから長男はもう女子寮で甘やかされまくって育っているから、私が怒ったらお姉ちゃんたちがかばってくれて「おいでおいで」って言ってくれて守ってくれたり、一緒に字も教えてもらったし、お絵描きもしてもらったし。自分の息子がその寮にいることで助けられたこともたくさんあって、昔、無断外出で逃げた子が帰ってきてどうにもならへんくて。寮長は怒ってる、私の声掛けも、もう今は受け取れないみたいになってる時に、当時3歳ぐらいだったのかな、息子がとことこと来て、「どこ行っとったん」って。そしたらその子が、フワッと泣き出して落ちたりとか。で、クラブの寮長が監督をやってやっぱ叱られた後ってご飯の時間が重たい空気になって、またそういうのぶち壊したいんですけど、私でも無理な時にやっぱ小さいこどもが来ると雰囲気がふわっと柔らかくなるんです。それで女子寮ならではかなと思うんですけど、そういう意味では息子にすごい助けられたなと思って、そういう意味ではあんまりその自分のこどもがいるからできない、生徒がいるから、子育てができないとか、あんまり今思ったらなかったのかな。当時はそのないものねだりで色々思ってたけど、今思えばありがたい環境で子育てさせてもらったなと思ってます。
その「何にもせんでいい」っていうのは女子寮、特に女子寮で近い将来お母さんになる子達に、妊娠出産で生まれたての赤ちゃんを抱っこする、おむつ変える、そんなのを見せてあげる。こんな生きた教育できるの、ここしかないからなと言われたんです。それだけで十分仕事しとるから、「何にもせんでええ」って言われて、「生活してたらいい、それがあんたの仕事や」って言われたのがすごい救いで。そっから「あ、そっか」って思って、この赤ちゃんを連れて一緒に女の子達と一緒に過ごす。おむつも一緒に変えたし、ミルクも飲ませてもらったし、みんな恐る恐る「怖い」って言いながら抱っこしたり、「ちっちゃい」って言ったり、お腹が動くのも一緒に触ったりもしてたし、「今動いたな」とか言って「すごい」ってみんなでお腹触ったりとか。それができたのはすごく大きかったし、生まれてからも、生徒をすごく大事にしてたら、生徒が我が子を大事にしてくれるんです。
絶対その循環ってあると思ってて、私が多分自分のこどもばかりだったら、生徒の気持ちは離れちゃったんだろうけど、もうどんどん巻き込もうと思って。だから長男はもう女子寮で甘やかされまくって育っているから、私が怒ったらお姉ちゃんたちがかばってくれて「おいでおいで」って言ってくれて守ってくれたり、一緒に字も教えてもらったし、お絵描きもしてもらったし。自分の息子がその寮にいることで助けられたこともたくさんあって、昔、無断外出で逃げた子が帰ってきてどうにもならへんくて。寮長は怒ってる、私の声掛けも、もう今は受け取れないみたいになってる時に、当時3歳ぐらいだったのかな、息子がとことこと来て、「どこ行っとったん」って。そしたらその子が、フワッと泣き出して落ちたりとか。で、クラブの寮長が監督をやってやっぱ叱られた後ってご飯の時間が重たい空気になって、またそういうのぶち壊したいんですけど、私でも無理な時にやっぱ小さいこどもが来ると雰囲気がふわっと柔らかくなるんです。それで女子寮ならではかなと思うんですけど、そういう意味では息子にすごい助けられたなと思って、そういう意味ではあんまりその自分のこどもがいるからできない、生徒がいるから、子育てができないとか、あんまり今思ったらなかったのかな。当時はそのないものねだりで色々思ってたけど、今思えばありがたい環境で子育てさせてもらったなと思ってます。
若葉学園の良いところは?
働きやすさだと思います。色んな施設の話も聞くけど、やっぱ私はすごいここでしか無理だなと思ってるので、他の児童自立支援施設かつ夫婦制で働けるかっていうと多分無理だろうなと思ってて。やっぱりすごい大切にしてきてもらったので、私が。もう働きやすさですね。仕事というよりも生活をしているっていう感覚なので、主人もそれは言ってて、多分これを仕事と思ったらしんどくなるやろうなっていう話は二人でよくしてきたので。生活の中で周りの人がご近所さんが仲間であって、そういう中でやってこれたのは私は働きやすかったかなと思います。
※撮影当時の情報です。
※撮影当時の情報です。
施設概要

昭和33年の開園以来「子どもと共に」という言葉を大切に子どもたちに関わっている児童自立支援施設です。
子どもと共に職員も生活を楽しむことを大切にし、小舎夫婦制を取り入れ、日々の支援を展開してます。
様々なバックボーンの子どもたちを対応する中で、信頼できる大人像を見せられるように職員全員で子どもたちの成長を支えています。
子どもと共に職員も生活を楽しむことを大切にし、小舎夫婦制を取り入れ、日々の支援を展開してます。
様々なバックボーンの子どもたちを対応する中で、信頼できる大人像を見せられるように職員全員で子どもたちの成長を支えています。