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自立援助ホーム 子供の家 有吉 みはる さん

兵庫県の神戸市にある神戸市立自立援助ホーム 子供の家の有吉といいます。勤めて、ここが開所して当初からですので13年目です。
最初、うちの母体が神戸真生塾というところなんですが、そこが養護施設、乳児院、保育所、諸々あるようなところなんですが、そこで最初は就職して養護施設にいたんですが、そこから再就職だなんだってしながら乳児院に勤めていました。そのときに新しく事業所を開設するって言ったのが、この子供の家だったんです。で、そちらへの異動を言い渡されまして、そのときは自立援助ホームって何ですかみたいなところからのスタートで、「行けば、あなただったら楽しいと思うわよ」みたいな、ざっくりした感じで異動して今に至るという感じです。
スタートが養護施設で男の子の担当だったんですけど、そのときがすごく自分の中で楽しかったっていうのもあって、たくさんいる中でどうして選ばれたんですか的な感じで伺いに行ったら、養護のときに退所したもう大きくなった男の子たちがまた遊びに来るんですね。「そうやってつながりを持てているから、きっとその援助ホームに行っても楽しく仕事ができると思うわよ」と言われたので、新しいことにチャレンジしてみるのも一つかなと思って、今に至るという感じです。
毎日がドラマなので援助ホームは、本当にどれ一つとっても忘れがたいことばかりです。この名前のとおり、自立を目指すところですので、職員もそこに向かっての後押しをしていくんですけれど。順調に自立に向かっているなって思ったところで、やっぱり本人の中ではいろいろ葛藤を抱えているんだと思うんですけど、飛び出していっちゃったりとか、仕事を急にやめてしまっていたりだとかっていった時に、こっちも本当のところを見落としてたのかなっていうところだったりで、そういう時はしんどいというよりは、自己反省に入ります。やっぱりあの時の一言、本当はSOSだったんじゃないだろうかとか、あそこでもっと踏み込んで話を聞いてあげればよかっただとか思うことはありますよね。
アフターケアを担当してるので、退所生と関わることも多いんです。そういった中で、今を生きているこどもたちの今の現状が知れたりだとか、一緒にその思い出話ができたりとかっていうところは本当にこの仕事だから得られる幸せだなとは思います。
今は結構ヘビーなケースが重なっている時期で、いろいろ大変なんですけど、今大変でも、そこでその子が次につながるような言葉がけはこっちも意識しますし、しんどくてちょっと戻ってきちゃった子とか、いろんなパターンがあるんですけど。それでももうとにかく、人生から途切れることはないから、自分で一生懸命やっていたら、絶対に未来に、将来につながっていってるんだからっていうようなことで、そのこどもの視点がそうかって変わった時とかは、やっぱり同じ気持ちでうれしいですね。
私は娘が一人いまして、娘が高校生になった時、1年生の時に自分が離婚してるんですね。シングルになったんですけど、その時期に娘が高1、つまりここの入所のこどもたちと年齢も被るわけですよ。逆に、娘も高校生なので十分仕事の理解もしてましたし、例えば自分が着なくなった服、これ着るかな、お古悪いかなとか言いながら用意してくれてたりとかいうので、母親の仕事は十分理解してくれてました。シングルになって、こどもも独立して大きくなって、それをこの仕事で育てられたっていうのは、私としてはやっぱりそれだけ環境を整えてもらえているお陰だなっていうふうに、そこも含めてありがたく思っています。
ここの特徴として、職員の年齢層が高めだと思うんです。なので、こどもの問題行動が起きたとしても、結構どんと構えているというか、それだけ年齢層が高いってことはそれだけ人生経験、社会経験を職員も積んでますので、こどもが何か言っても倍返しするぐらいのパワーで、良くも悪くも大人もこどももみんなクセが強いみたいなところです。でもこどもとの暮らしの中で、私がユーモアって大事だなって思ってて、こどもが何か言った時に説教口調で言うたら、こどもも耳貸さないみたいな、そこをちょっとユーモアを交えながら、こっちの経験も上乗せして言って、笑いが起きるような空気感が作れるところはいいところじゃないかなと思います。
もう一つは、ここが神戸市の指定管理っていうのと、母体が社会福祉法人であるというところで、土台がしっかりしているというところは強みかなと思います。その強みっていうのは勤務体制がしっかりされているかとか、休みもきちんと取れていることであったり、心身共に健康じゃないと10代のこども達のパワーってすごいですので、負けちゃいますので、それがきちんと充電できる環境で仕事がさせてもらえているというのは、すごいありがたい部分だなという風に思っています。

※撮影当時の情報です。

施設概要

自立援助ホーム 子供の家
設立当初、神戸市には自立援助ホームがありませんでした。神戸の中で自立援助ホームの認知度が低い中、知ってもらいたいという思いと子どもにとっては頼れるところが1つ増え、人と繋がることが大切だと考えたことから開所されました。

子供の家では、子どもが主体的になり、大人は待つ事が大切なのは大前提とし、大人による導きも同じくらい大切だと思っています。
「一方向で伝える」ではなく「大人からのアドバイス」や「真逆の事を伝える(メリット・デメリット)」を提示して、選択肢を与える事を支援の軸とし、「最終的には自分で決める事」が大切であり、「失敗するのは全然OK」だと考えています。

変化が多い自立援助ホームだからこそ、毎日が職員会議、毎日がケース会議だと思えるくらいとにかく”子ども”も”大人”も話し合いを大事にしています。そういった支援の方針に共感をしてくれる方をお待ちしております!

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