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一陽 藤下樹さん

福井県にあります、児童養護施設一陽の藤下と言います。仕事はケアワーカーをしています。
今年で13年目になります。
本当にたまたまです。元々大学では教育学部で、学校の先生になることを目指して学んできたんですが、採用試験に落ちて。臨時で募集をしていた進修学園(現・一陽)の求人を見て児童養護施設という名前に興味を持って、臨時として勤め始めたのがきっかけです。
入職当時もその年にまた教員採用試験を受けようと思っていたのですが、働いてみるとどっぷりはまってしまいまして。この子どもたちと離れたくないなという理由で、その年に次年度の採用試験を受けて、採用いただき、今に至ります。
いろんなしんどさはあったのですが、いくつか話していいですか?

ぱっと子どものことで思い出すのは、トラウマがすごく強かった小学生の子で、二度入所してきた子です。どこがスイッチかも分からないくらい、ずっとイライラしている、暴言を吐く、暴力をふるうという子でしたね。当時は自分自身もトラウマへの理解度が低く、暴力を止めよう、暴言を止めようってことに躍起になっていたので、子どもも自分もお互いしんどくなる一方やったなと思います。
その中で、トラウマインフォームドケアというものを、いろんな心理職とか児童相談所の先生とか、施設の中で必要だっていうことになって取り組んできましたがそれでもやっぱりしんどかったですけど、でもやっぱり一番しんどかったのは、その子が家庭復帰という名の…すごく中途半端な状態のときに家に帰してしまって、結局家でうまくいかなくて二度目の入所になるプロセスでしたね。
万引きを繰り返す子とか、そういうしんどさもあるんですけど、この出来事がすごく残っているなと。暴言を受ける側としてもしんどかったですし、その後の中途半端な状態でお家に帰してしまって、結果うまくいかなかったという事実も含めて結構しんどい経験ではありました。

あとは職員についてですが、自分の中では正しいと思っていたことを後輩の子に伝えたときに、その子がまだその言葉を受け入れるタイミングではなくて、結果辞めてしまったという経験は、今でも自分の中では大切にしています。
ひとえに、退所した子が会いに来てくれるということに尽きると思います。まだ13年目なので、何人の子を見送ってきたかでいうと、もう知れてます。まだ35歳なので、そんなに年もいってないので、これからの楽しみの方が大きいっていうか。
ひとつひとつをあまり覚えてないかもしれないです、場面場面でいったらそれこそ、今見ている子が試合でホームランを打ったとか、そっちの方が嬉しいかもしれないですけども。
みんなが明るい!そして、コミュニケーションの量が多くて、違いがない。不満は問題提起として意見出しして、愚痴にして終わらない。そういう文化がすごく自分は好きです。

施設概要

一陽
児童養護施設 一陽は、福井県越前市の王子保駅から徒歩15分に位置している施設です。そんな一陽の特徴をご紹介します。

[担当職員の充実]
ホーム担当制で職員体制が充実しており、各ホーム毎日2人以上が勤務するようになっています。
(各ホーム担当職員5~6名)
そして、職員数が多いことで、小舎の強みを生かした個別支援を展開しています。

[地域支援も多数展開しています]
法人としては児童家庭支援センターや子育て支援センターも運営しており、地域支援も行っています。
R6年度からは地域支援センター一陽を新たに設立し、更なる地域支援を展開します!

[自主性・民主制・公共性・公開性を大切にしています!]
1、一陽には労働組合があり、座談会※などの話し合いの中で、自分たちの働き方を考えます。
2、一緒に働く仲間は、一緒に働く職員が選考させていただきます。
3、全職員が参画し、職場を作りあげる為の様々なプロジェクトチーム(以下PT)や会議があり、職員が得意分野(強み)を伸ばし活躍する場があります。

※座談会とは:年間3~4回、若手、ベテランに関わらず参加し、日々の悩みややりがい、ワークライフバランスなどについてざっくばらんに話し合う場です。

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