本シリーズもこれで4回目となりました。今回は、「心理の専門職」の仕事について紹介していきたいと思います。
■児童養護施設の心理職
児童養護施設には、何らかの事情により家庭で生活を続けることが難しくなった子どもたちが入所してきています。事情は子どもそれぞれで全く違いますが、生活の場所が変わるということだけを考えても、子どもたちにとっては大きな出来事です。そんな子どもたちが、施設での暮らしを前向きに捉え、未来に向かって生活していけるようお手伝いをする、そんなサポーターの役割を務めるのが、施設の心理職です。
東京都の児童養護施設には、心理の専門職として2種類の職種が配置されています。
一つが“心理療法担当職員”。これは国の基準で配置されている心理職で、名前の通り児童の心理療法を実施することを主な業務内容としています。
もう一つが東京都独自の基準で配置されている“治療指導担当職員”で、施設によって働き方に差はあるものの、より生活に近い場面で他職種と連携しながら働くことが想定されています(治療指導担当職員は、心理士以外の資格保持者でも働くことができますので、厳密に言えば心理の専門職とは言えないかもしれません)。
二つの心理職は、全く違う働き方をしているという訳ではありません。役割分担のようなかたちで働き方に差をつけながらも、心理職チームとして協働しながら、施設で必要とされる業務を担っています。
■心理職の仕事
心理職の仕事と聞くと、多くの人はカウンセリングやセラピー、心理療法といった相談業務を思い浮かべることと思います。実際、施設の心理士も子どもたちに対して個別にカウンセリングやセラピーの時間を提供していて、それぞれとても大切な時間になっていますが、施設の心理職の仕事はそれだけではありません。実はその他にもいろいろな場面で仕事をしています。
心理職がどんな仕事をしているか、簡単に紹介していきましょう。
・心理相談
子どもたちの希望に応じて、心理士と一対一で過ごす時間(カウンセリングやプレイセラピーなど)を用意しています。その時間をどう過ごすかは、子どもたちそれぞれの悩みや相談ごとに応じて違っており、心理士と子ども本人で話し合って決めています。
・生活環境の調整
子どもたちがそれぞれの強みを伸ばし、困難を克服していけるような生活環境を作るにはどうしたら良いか、子どもたちの生活の様子を実際に見てみたり、支援員さん達と意見交換をしたりしながら、心理士もアイディアを出しています。もちろんそうしたことは全ての職種の方が考えていることで、心理職独自の業務とは言えません。ですが、心理学の知見を基にしたり、一歩離れたところから生活グループ全体を捉えたりすることで、他の職種とは少し違った視点から意見を出せることが心理職の強みになっています。今何が起きているんだろう、この先何が必要なんだろう、と考える視点を持つことが、心理職の大事な仕事の一つになっています。
・他職員のサポート
一般の家庭でも子育てには悩みがつきものですが、それは施設であっても同じこと。日々子どもと関わる職員さんは、より良い子育てのためにあれやこれやと迷うことも多く、やはりサポートを必要としています。心理士は、職員さんが子どもの様子で分からないことがあったり、対応に迷っていたりする時に、発達やコミュニケーションなど心理学の視点から助言をしています。時には雑談のようにただ話を聞いてという時間もありますが、そうした時間も職員さんの息抜きになるものです(子育てを経験された方は特によく分かるのではないでしょうか笑)。話をすることで頭の中を整理して、また元気に働くことができるようになれば、それは最終的には子どもたちのためになっているとも言えるでしょう。これも、心理職の大事な仕事の一つです。
・その他
施設心理士は、退所した児童に対する支援(アフターケア)や、未来の心理職を育てるための実習生の受け入れ、地域の子どもや子育て家庭を応援する地域支援事業などにも携わっています。施設の中だけではなく、広く子どもたちの健やかな育ちを応援したい、そんな気持ちで業務に当たっています。
■資格について
現在若草寮で働いている心理職の職員は、臨床心理士、公認心理師の資格を持って働いています。
資格取得のために大学院への進学や実習経験が必要だったり、資格維持のために条件がある(臨床心理士資格は5年ごとに審査があります)など、大変なところもある資格ですが、大切な子どものこころを扱う仕事である以上、専門性や責任を引き受けていく覚悟が必要だと考えています。
カウンセリングやプレイセラピーについて、詳しくはHPにて説明文を記載しております。
現在働いている心理職へのインタビューもHPに掲載しておりますので、続きをご覧ください。
https://wakakusaryo.or.jp/news/%e3%80%8c%e5%85%90%e7%ab%a5%e9%a4%8a%e8%ad%b7%e6%96%bd%e8%a8%ad%e3%80%80%e4%bb%95%e4%ba%8b%e5%86%85%e5%ae%b9%e2%91%a3%e3%80%8d%ef%bd%9e%e5%bf%83%e7%90%86%e8%81%b7%e7%b7%a8%ef%bd%9e/
■児童養護施設の心理職
児童養護施設には、何らかの事情により家庭で生活を続けることが難しくなった子どもたちが入所してきています。事情は子どもそれぞれで全く違いますが、生活の場所が変わるということだけを考えても、子どもたちにとっては大きな出来事です。そんな子どもたちが、施設での暮らしを前向きに捉え、未来に向かって生活していけるようお手伝いをする、そんなサポーターの役割を務めるのが、施設の心理職です。
東京都の児童養護施設には、心理の専門職として2種類の職種が配置されています。
一つが“心理療法担当職員”。これは国の基準で配置されている心理職で、名前の通り児童の心理療法を実施することを主な業務内容としています。
もう一つが東京都独自の基準で配置されている“治療指導担当職員”で、施設によって働き方に差はあるものの、より生活に近い場面で他職種と連携しながら働くことが想定されています(治療指導担当職員は、心理士以外の資格保持者でも働くことができますので、厳密に言えば心理の専門職とは言えないかもしれません)。
二つの心理職は、全く違う働き方をしているという訳ではありません。役割分担のようなかたちで働き方に差をつけながらも、心理職チームとして協働しながら、施設で必要とされる業務を担っています。
■心理職の仕事
心理職の仕事と聞くと、多くの人はカウンセリングやセラピー、心理療法といった相談業務を思い浮かべることと思います。実際、施設の心理士も子どもたちに対して個別にカウンセリングやセラピーの時間を提供していて、それぞれとても大切な時間になっていますが、施設の心理職の仕事はそれだけではありません。実はその他にもいろいろな場面で仕事をしています。
心理職がどんな仕事をしているか、簡単に紹介していきましょう。
・心理相談
子どもたちの希望に応じて、心理士と一対一で過ごす時間(カウンセリングやプレイセラピーなど)を用意しています。その時間をどう過ごすかは、子どもたちそれぞれの悩みや相談ごとに応じて違っており、心理士と子ども本人で話し合って決めています。
・生活環境の調整
子どもたちがそれぞれの強みを伸ばし、困難を克服していけるような生活環境を作るにはどうしたら良いか、子どもたちの生活の様子を実際に見てみたり、支援員さん達と意見交換をしたりしながら、心理士もアイディアを出しています。もちろんそうしたことは全ての職種の方が考えていることで、心理職独自の業務とは言えません。ですが、心理学の知見を基にしたり、一歩離れたところから生活グループ全体を捉えたりすることで、他の職種とは少し違った視点から意見を出せることが心理職の強みになっています。今何が起きているんだろう、この先何が必要なんだろう、と考える視点を持つことが、心理職の大事な仕事の一つになっています。
・他職員のサポート
一般の家庭でも子育てには悩みがつきものですが、それは施設であっても同じこと。日々子どもと関わる職員さんは、より良い子育てのためにあれやこれやと迷うことも多く、やはりサポートを必要としています。心理士は、職員さんが子どもの様子で分からないことがあったり、対応に迷っていたりする時に、発達やコミュニケーションなど心理学の視点から助言をしています。時には雑談のようにただ話を聞いてという時間もありますが、そうした時間も職員さんの息抜きになるものです(子育てを経験された方は特によく分かるのではないでしょうか笑)。話をすることで頭の中を整理して、また元気に働くことができるようになれば、それは最終的には子どもたちのためになっているとも言えるでしょう。これも、心理職の大事な仕事の一つです。
・その他
施設心理士は、退所した児童に対する支援(アフターケア)や、未来の心理職を育てるための実習生の受け入れ、地域の子どもや子育て家庭を応援する地域支援事業などにも携わっています。施設の中だけではなく、広く子どもたちの健やかな育ちを応援したい、そんな気持ちで業務に当たっています。
■資格について
現在若草寮で働いている心理職の職員は、臨床心理士、公認心理師の資格を持って働いています。
資格取得のために大学院への進学や実習経験が必要だったり、資格維持のために条件がある(臨床心理士資格は5年ごとに審査があります)など、大変なところもある資格ですが、大切な子どものこころを扱う仕事である以上、専門性や責任を引き受けていく覚悟が必要だと考えています。
カウンセリングやプレイセラピーについて、詳しくはHPにて説明文を記載しております。
現在働いている心理職へのインタビューもHPに掲載しておりますので、続きをご覧ください。
https://wakakusaryo.or.jp/news/%e3%80%8c%e5%85%90%e7%ab%a5%e9%a4%8a%e8%ad%b7%e6%96%bd%e8%a8%ad%e3%80%80%e4%bb%95%e4%ba%8b%e5%86%85%e5%ae%b9%e2%91%a3%e3%80%8d%ef%bd%9e%e5%bf%83%e7%90%86%e8%81%b7%e7%b7%a8%ef%bd%9e/