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実習について

【失敗は成功の元!高評価される実習生とは?】
兵庫県・児童養護施設 双葉学園の実習担当者にインタビュー

本田さん

◆実習生の受け入れ状況は?

1月以外は、毎月実習生がいる状態で年間100人位です。 各ユニットでの指導は現場職員が担当し、実習担当は時々聞き取りをする程度の関わりです。 5つのユニットがあるので、同時期に複数実習生がいる時は別々のユニットに割り振りしています。
例えば、10日間の実習期間があれば、前半は高齢児*ユニット、後半は幼児ユニットというようにシフトを組んで、 さまざまな年齢の子どもたちと接する経験をしてもらっています。 メインで実習生に指導するのはユニットリーダーが中心ですが、ユニットでは複数の担当者が勤務していますので、 日々の振り返りは、その日勤務に入っている担当者が行うことが多いです。
実習期間は10日間が多いですが、社会福祉士であれば1カ月程度、また介護体験ということであれば過去最短で5日間の方もいらっしゃいました。

※高齢児:主に小学高学年〜高校生の子ども

◆実習生の1日の動きは?

実際の動きは、各ユニットにより変わってきますが、 実習時間としてはA勤務(7:00~15:00)、B勤務(9:00~17:00)、C勤務(13:00~21:00)の3パターンがあり、多いのはC勤務です。
実習の約1か月前の事前オリエンテーションでお渡ししている「実習生のしおり」で勤務体系や、それぞれの1日の流れをお伝えしています。 「実習のしおり」ではその他、持ち物、服装、出退勤について、児童と職員の関係、守秘義務、反省会の実施の仕方などについてなどをお伝えしています。

◆実習に入るにあたって、どんな心構えをしてほしいですか?

まずは肩を抜いてとお伝えしています。 「児童養護施設」に対して、どんよりしていたり、荒れていたりとネガティブなイメージを持っている方が多く、気構えている実習生さんが多いんです。 ここにいるのは普通の子どもたち、保育園に実習に行くのと同じ感覚で来て欲しいですね。

◆実習生とどのように関わっていますか?

実習生との関わりは、丁寧でありたいと思っています。 職員それぞれの気質もありますし、新人が多く中堅・ベテランの少ない施設なので、受け入れ側の余裕もないのが実情ですが、そんな中でも丁寧に対応ができるよう心がけています。
職員全体には「実習受け入れのしおり」を通して実習受け入れの心構えや対応を周知しています。 一人ひとりの職員にもう少し余裕が出て、しっかり迎え入れようという体制になれば、より実りのある実習が実現できると思っています。
来てくださっている実習生は、資格取得・単位取得のために、大学の方で割り振ってもらった方が多いです。 実習から就職につながる例は、残念ながらほとんどないのですが、アルバイトをしてくれた実習生はいました。
オリエンテーションの印象を見て、また、ユニットの職員からも話を聞き、一緒に働いてみたいと思った実習生には、 実習最終日に「もし児童養護施設 双葉学園での就職に興味が出たら!」と名刺を渡すこともあります。

◆実習日誌について

わかりやすく書いてもらえるように指導しています。
自分の行動だけを書いて、考察のない日誌を書く実習生がいます。 例えば「夕食を食べました。美味しかったです」と。その時の職員の様子、子どもの様子、さらにそれを見て感じたこと、考えたことを書いて欲しいですね。
子どもの個人的なエピソードは書いてはいけないと誤解している実習生さんもいたのですが、 子どもの名前をイニシャル+学年で書いて個人情報に配慮してもらえたら大丈夫です。 ざっくりしていると、誰との関りかわからず、振り返りもしにくくなります。
まずは観察、そして考察、さらに望み過ぎになってしまうかもしれませんが、自分ならどうしたいかを考えて欲しいです。 職員の動きを見て、どのような思いを持って行動をしているのかを考え、間違ってもよいので書いてもらえると「実はこの場面では…」と話も広がります。

◆実習生のエピソードをおしえてください。

実習生だからと、子どもたちに何をされても我慢してため込んでしまってしまう学生さんは少なくありません。 試し行動*をする子どももいて、本当は嫌なのに嫌と言えないんですね。 そんな実習生が多い中、嫌なことは嫌だということや、こうしてくれたら嬉しいと、しっかり子どもに伝えられる実習生はすごい肝が据わっているなと思います。
残念だったのはSNSのトラブルです。 高齢児はスマートフォンを持っている子も多く、実習生とSNSでつながったり、写真を投稿したりしたケースがありました。 実習生自身に悪気はなく、子どもから言われて断り切れなかったこともあるかもしれませんが、絶対にあってはならないことです。 そのトラブルがあってから、しおりにも明記し、事前オリエンテーションでもしっかり伝えるようになりました。

※試し行動:わざと良くない行動をして、どこまで許容されるか相手の反応をみること

◆実習を通じて、どのような経験をしてほしいですか?

職員それぞれカラーがあって、子どもたちとの関り方も違います。 実習を通していろいろな支援の仕方を見て、自分はどんな支援をしたいのかを考え、自分ならどうしたいのか、 どんな養育者になりたいのかを考えるきっかけにしてくれたら嬉しいですね。
10日間、単位のために無難に過ごす実習生も少なくありません。 でも、それはとてももったいないことですよね。 せっかくの実習を、気づき、学び、一歩前に進む機会にしてほしいです。失敗もどんどんしてくださいね。

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