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実習について

【実習って辛くない?施設のホンネ、実は…】
東京都・児童養護施設 調布学園・第二調布学園の実習担当者にインタビュー!

山下さん

◆「調布学園」「第二調布学園」での実習の受け入れ状況は?

2施設で、年間30校30人の実習生を受け入れています。資格は「保育士」「社会福祉士」で、期間は大学側からの希望をいただき、重ならないように施設側で調整をしています。 個人の方から実習について問い合わせをいただく場合もありますが、基本的には提携している大学を通してのみお受けしています。

◆実習前の事前オリエンテーションはどのように行っていますか?

前期(5~8月)にいらっしゃる方は4月2週目、後期(9~11月)は7月2週目に来ていただきまとめて実施しています。 児童養護施設の大まかな内容や制度、状況、実習中に気をつけて欲しいことなどをお話ししています。
実習生向けの事前資料も用意していますし、大学から要望をいただき、出向いてお話をすることもあります。

◆実習のプログラムは決まっていますか?

職員会議への参加、食堂で調理を学んでもらう、社会福祉士の実習であればグループホームに1日入ってもらうなどは決まっていますが、 後は実習生の希望や意欲により、個々に合わせた実習を組んでいます。

◆実習生の希望や意欲とはどんなことですか?

実習が始まる前に、将来、児童養護施設で働きたいのか?現時点ではまだ考えていないのか?をお聞きしています。 特に児童養護施設での就職を希望している場合には、実習中にしっかり実態をつかんでもらうために、生活全般に関わってもらうことを意識して、 例えば掃除・洗濯といったこともしっかり経験してもらいます。
児童養護施設での就職を希望していない実習生には、子どもとの関りに重点をおいたり、児童養護施設そのものを知ってもらったりするような実習を組んでいます。
でも、意外と軽い気持ちで来た実習生が、実習を通して興味が深まり、のめり込んで就職につながるパターンも多いんですよ。

◆実習するにあたって実習生側が注意してほしいことはありますか?

子どもに対する言葉遣いや、露出を控えた服装、過度なアクセサリーや染髪を控えて欲しいことなどを、オリエンテーションで伝えています。

◆実習を通して実習生に学んでほしいことは何ですか?

児童養護施設について実習を通してしっかり知ってもらって、学校で話題にして欲しいです。 どんな食事を食べているか、どんな服を着ているか、そんなこともありのまま知ってもらいたいですね。
児童養護施設は閉鎖的なイメージもありますが、意外と子どもたちは明るく前向きですし、お下がりの服装に身を包んでいるわけでもなく、 その世代の子どもたちなりのおしゃれも楽しんでいます。そういった現状を知ってもらって、ぜひ周りにも広めて欲しいです。
実習生の中には、大学卒業後、別の業界で働く方も多くいると思いますが、そういった方にも、児童養護施設を知る機会としていただけたら嬉しいです。

◆実習日誌を書く上での注意点は?

実習日誌は大切なものですが、実は重きを置いてはいないんです。調布学園では記録よりも対話を重視しています。
細かな指導まではしませんが、感想文にならないように、考察になるように、といった工夫を伝えることはあります。 自分がどう思ったか、そして次はどうしようと思ったか、しっかり考察して記録できるとよいのではないでしょうか。
実習日誌に記録するためのメモもOKとしています。

◆実習から就職につながることもあるそうですが、実習生への働きかけはしていますか?

実習中は、特に就職への働きかけはしていません。プレッシャーにもなると思いますので。働きかけより、実際に見て・感じて、私共の施設で働きたいと思ってもらえたらよいですよね。
職員間の関係がフラットであることや、若手が主体的に行動し、意見を言える雰囲気なことが若い方々には受け入れられているように感じています。
何より働いている職員がやりがいを持って、楽しそうに働けているかと思いますので、そういった雰囲気を感じた上で、進路選択をしてくれたら嬉しいと思っています。

◆実習の受け入れに際して施設側で気をつけていることはありますか?

実習生受け入れ時に留意したいことを資料にして職員間で共有しています。 例えば「名前をきちんと覚えて名前で呼ぶ」「実習日程を把握することで残りの日数に応じた実習内容になっているか考える」「休憩時間をしっかりとってもらう」といったことです。
実習中は、振り返りの時間で実習生の話をしっかり聞くことも、短時間でよいので必ずやることを徹底しています。
しっかり学ぼうと来てくださる実習生の皆さんを、施設としても誠実に受け入れなければいけないと思っています。

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