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結婚20年目の仲良し夫婦にインタビュー!夫婦で寮を持つ魅力とは!?

職員さんインタビュー

児童自立支援施設

2025/08/21 08:48
結婚20年目の仲良し夫婦にインタビュー!夫婦で寮を持つ魅力とは!?
*松本夫婦のプロフィール*
松本 倫忠(まつもと のりただ)(46)
前職:法務教官(少年院や鑑別所で働く)・警察官
松本 恵里(まつもと えり)(45)
前職:営業職・保育士
H26年に夫婦揃って大阪府に入庁。入庁当初から、夫婦で女子寮を運営し今年で12年目になる。

二宮:今日はよろしくお願いします!早速ですが、インタビューを始めさせていただきたいと思います。まず、夫婦でこの仕事をしようと思ったきっかけは何ですか?

松本倫:これはよく聞かれるんですが、法務教官時代に児童自立支援施設の研修に行ったことがきっかけです。その時に、夫婦揃って同じ寮で働いている姿を見て、この仕事がしたい、ここで働けば、今までとは違う子供との関わりが出来るのはないかと思うようになりました。気が付けば、「僕がここで働きたいって言ったら、いけますかね?」と当時の副園長に聞いており、その流れで夫婦揃って見学に行くことになりました。

二宮:松本先生らしいですね(笑)その話を聞いて、松本教母さんはどう思いましたか?
※修徳学院では、男性職員を先生・女性職員を教母(キョウボ)さん、と呼ぶ

松本恵:先生が研修から帰ってきてすぐにその話をしている姿を見て、これはやる気で話してきたな、曲げない感じだなと思いました。その時に「私はどうすればいいの?」と聞くと、先生からは「俺が引っ張っていくから、フォローしてほしい。」と言われ、夫婦揃って見学に行くことを決めました。でもその時はまだ自分がこの仕事をする実感がなかったので、少し軽い気持ちで考えていたように思います。

松本倫:今になったら教母さんの凄さとか必要性が分かるけど、当時は自分が引っ張るから、軽い気持ちで教母さんについてきてほしいといいました。けど、その軽さがあったから、逆にここまで進めたんだと思います。

二宮:全国に児童自立支援施設はいくつもありますが、修徳学院に決めた理由はなんですか?

松本倫:最初は研修を受けさせてもらった施設で寮を持つ予定でしたが、僕の資格条件が合わず、試験を受けることが出来ませんでした。「ここまできて嘘やろ!」という気持ちはありましたが、もう夫婦揃って気持ちが固まっていたので、色んな児童自立支援施設に当たってみようということになり、1件目で修徳学院に出会いました。幸い、修徳学院の採用基準を満たすことが出来たので、そのまま試験を受けて今に至ります。

松本恵:でもその試験にも色んなエピソードがあって…(笑)当時、私は3人目の子供を身ごもっている時期だったんですけど、出産予定日と試験の日程が丁度重なってしまって、促進剤を打って試験に臨みました。産後すぐに試験を受ける予定だったので、分娩台の上でも、病室でも夫婦揃って試験勉強をしたことが思い出です。

松本倫:あれは忘れられない思い出になりましたね(笑)僕が、試験の対策資料を作って、とにかく2人で合格できるように必死に頑張りました。陣痛中に僕が問題を出して、「今、お腹が痛すぎて答えられる状況じゃない!」と言われたことも…(笑)

二宮:今の時点で松本夫婦のエピソードが面白すぎて、インタビューをまとめられる自信がないのですが、次の質問にいきたいと思います(笑)この仕事の魅力ややりがいは何ですか?女子寮の特徴も含めて聞かせていただければと思います!

松本倫:やっぱり1番の魅力は夫婦でできること・家族で出来ることですかね。以前の職場(少年院)では支援の限界を感じることが多く、子供に伝えきれていないなぁと思う部分が多くありました。夫婦でやっていると、指導というよりは、何気ない時間の中で子供たちに伝えられることが多いので、そういう点は魅力だなと思います。あとは、アフターケアが出来ることですね。卒院してからも寮に遊びに来てくれたり、自分の子供と生徒が仲良くなったり…。生徒が、私たち家族の大きな財産になってくれているなと感じる部分が多いです。

松本恵:私は、仕事が自分の生活の一部になることだと思います。仕事だけど、自然に生徒と関わって、実子と同じように褒めて、叱って、そういう関わりが出来ることが、この仕事の魅力だと思います。子供が生まれた時は、実際に子育てをしている所を見せたり、生徒にお世話をしてもらったり、この仕事だからこそ出来ることが沢山あると思います。そういうことを知らずに育ってきた子も多いので、そういった家族の関わりを近くで見せてあげられるのもいいですね。
女子の特徴としては、とにかくよく喋る、コミュニケーション能力が高いことですかね。その分、難しいことも多いですが、関われば関わるほど、良くも悪くも言葉にして返してくれるので、すごくやりがいはありますよ。

松本倫:教母さんが言うように距離が近いから、こっちが不安定だと生徒も不安定になるし、難しいけど、ハマれば本当に面白い仕事です。最初は自分が男社会で働いてきたので、男子寮の方が向いているのかなと思う気持ちもありましたが、今は本当に女子寮でよかったなと思います。支援を行う中で、教母さんに頼ることも多いし、日々、女性の力に支えられています。

二宮:沢山の魅力を伝えてくださってありがとうございます。そんな魅力いっぱいの女子寮ですが、この仕事をはじめて忘れられないエピソードはありますか?

松本恵:私が一番覚えているのは、生徒が「ここを出たくないです。なんなら教母さん家の2階に住めないですか?」と本気で言いにきてくれたことです。この仕事をしていると、正解や不正解が分からないから、その一言で、自分のやってきたことは間違いじゃなかったんだと、肯定されたような気持ちになりました。あの言葉は、本当にうれしかったですね。

松本倫:僕が印象に残っているエピソードは、生徒が卒業式前に不調になってしまい、一人での卒業式を行ったことです。その時はうまく指導が入らず、関係が焦げ付いていましたが、卒業式の日をきっかけに、自分もその生徒も、新たなスタートを切ることが出来ました。
当日は、その子のために沢山の人が集まり、短縮バージョンではありますが、無事卒業式を行うことも出来ました。その子が練習して弾いてくれた「旅立ちの日に」を全員で歌ったことも、僕と教母さんでその子を挟んで3人で座ったことも、今でも鮮明に覚えています。
関係が焦げ付いてしまい、どうにもならないとしんどい思いをした時期でもありましたが、最後まで諦めずにこの子と向き合うことが出来てよかったと思っています。

二宮:とても素敵なエピソードをありがとうございました。どのエピソードからも、松本夫婦の想いが伝わってきて、すごく暖かい気持ちになりました。インタビューも終盤になりますが、ここで松本寮のこだわりポイントや寮運営を行う上で大切にしていることを教えてください!

松本恵:大切にしていることは、生徒の話をしっかり聞いて寄り添ってあげること、生徒の気持ちを否定せず、受けとめてあげることだと思います。うちの寮は、就寝後に私と生徒の2人で話しをすることを受け付けているので、夜に寂しくなった時や、聞いてほしい話があるときは、それぞれが「今日いいですか?」と話をしに来ます。その時は、今の話だけではなく、過去の話や生徒の恋愛相談なんかも思う存分、語り合います。この時間はこれからも大切にしていきたいですね。

松本倫:僕は、自分の子と寮の子をそこまで区別しないことですかね。指導の基準はそれぞれ違うけど、叱り方とか言わないといけない部分、褒める部分はほとんど一緒です。人によって変わる信念なら、生徒にも伝わらないと思うので、それは自分の中で大切にしていることですかね。あとは、生徒と実子の距離が近いので、生徒の前では自分の子供を優先しすぎないこと。例えば、生徒が綺麗にした場所を実子が汚した時には、「お姉ちゃん達がせっかく綺麗にしてくれたのに」「ちゃんと自分で掃除をしてもとの状態に戻しなさい」と生徒の前で叱ります。そういった気遣いがないと、生徒と家族の関係も悪くなるし、矢印が実子に向いてしまうかもしれないので、そこはしっかりと気を付けて接しています。

松本倫:松本寮のこだわりポイントは、食卓を大切にすること、楽しい寮にすることです。食卓はその日のことを沢山話したり、社会情勢について皆で考えたり、ここでしか分からないこと、伝えられないことが沢山あります。卒院生の中でも、みんなで食卓を囲む時間が一番楽しかったといってくれる子が多いです。また、生徒の誕生日や季節ごとのそれぞれの行事も、寮として全力で楽しみます。生徒の誕生日には、寄せ書きをみんなで作ったり、欲しい物を普段の会話からリサーチしてプレゼントしたり、そこはうちの寮…というか、うちの教母さんの凄いところだなぁと思います。

松本恵:クリスマスには、生徒にサンタさんが来るという経験をさせてあげたくて、夜中の三時にサンタクロースの衣装を着て枕元にプレゼントを置きに行ったこともあります…(笑)1番は生徒の喜ぶ顔が見たいという気持ちですが、そういう行事を経験せずにここまで来た子が多いので、ここに来たからには沢山の経験を積ませてあげたいですね

二宮:松本寮の大切にしていること・こだわりポイントが聞けてすごく参考になりました!ここまで思ってもらえる生徒も本当に幸せですね。最後になりましたが、チャボナビを見てくださっている人、就職を考えてくださっている人に一言ずつメッセージをお願いします!

松本倫:単独で仕事に就かれる方も多いですが、本当は夫婦でこの仕事をやってほしいなと思います。それが一番この仕事の醍醐味を感じられると思うので!でも、最初からいきなりパートナーを見つけて夫婦でやるっていうのは難しいと思うので、とにかく門を叩いて採用試験を受けてほしいなと思います。

松本恵:ちょっとでも興味がある、いいなと思う人がいれば見学に来てほしいなと思います。この仕事は色々な難しさがあるけど、あとから付いてくるものも多いです。子供と共に生活することで、自分が求めていた支援がお腹いっぱいになるまで出来ると思います。夫婦じゃなくても、子供達のために働きたい・そういう仕事がしたいという人にとっては凄くいい職場だと思います。

松本倫:楽しいことも、しんどいことも、子供たちと共に乗り越え、活動しようとする気概のある人を待っています!6寮はいつでも見学を受け入れているので気になった人がいれば、ぜひ一度修徳学院に足を運んでみてください!

二宮:お二人とも素敵なお話をありがとうございました!このインタビューからでも伝わる通り、本当に子どもも大人も一緒に成長できる場所です。この記事を見て、ぜひ同じ職場で働いてみたい・もっと児童自立支援施設について知りたいと思った方は、いつでも見学を受け付けておりますので、ぜひ一度足を運んでみてください!
※お問い合わせは、こちらのサイトや学院直通番号までよろしくお願いします!