自立援助ホーム
自立援助ホームの概要やその役割、入所に至る経緯などを解説していきます。◯目次
・自立援助ホームの概要・自立援助ホームの入所理由・経緯
・自立援助ホームの機能・役割
自立援助ホームの概要
自立援助ホームは、児童福祉法第6条の3第1項及び、児童福祉法第33条の6「児童自立生活援助事業」として第2種社会福祉事業に位置付けられています。※自立援助ホームは厳密な定義では「施設」では有りませんが、社会的養護を担う場として施設として掲載しています。
全国に229ヶ所設置されており、何等かの理由で親元を離れ自立した生活を目指す必要のある義務教育終了後の15歳から20歳まで(状況によっては22歳まで)の子どもたち約800名が生活しています。
入所中は就業しながら自立を目指す他に、「就学者自立生活援助事業」を利用して高校や大学に通うことも可能です。
第2種社会福祉事業である為、社会福祉法人の他にもNPO法人や一般社団法人など、様々な主体によって運営されています。
1ホーム当たりの定員数は5~20名程度ですが、多くの自立援助ホームは6名程度の定員で運営をされています。
公的扶助で運営されている児童養護施設とは異なり、自立援助ホームでは、寮費として入所の費用の一部を自己負担する必要が有り、一定の決められた金額を支払っています。
自立援助ホームへの入所理由・経緯
自立援助ホームの入所理由は保護者からの虐待や養育拒否などが約40%を占め、最も多くなっています。入所経緯は様々ですが、「どこから入所したか?」は、大きく2つに分かれます。1つ目は、虐待や貧困、非行等によって「家庭からの入所」が全体の約40%ほど、2つ目は児童養護施設や児童自立支援施設などの他の社会的養護施設や里親家庭からの入所が約40%ほどとなっています。
自立援助ホームへの入所は子ども本人が「自立援助ホームに入りたい」と希望した意思の元、児童相談所長からの「委託措置」という手続きを取ります。
自立援助ホームの機能・役割
自立援助ホームの主な機能・役割についてご説明します。・自立支援
・就労支援
・学習支援
・アフターフォローと地域支援
どれも自立援助ホームの機能・役割として大切なものです。
それぞれについて、詳しく説明していきます。
自立支援
自立援助ホームへと入所に至るまでには、不安定な家庭環境や苛烈な養育環境を経験した子どもたちが多くいます。基本的な生活習慣でなく、「他者を信頼すること」や「社会性」など、本来成長と共に獲得されているべき力が、これまでの生い立ちから備わっていないことが少なくありません。 そのため、主体的に何かを決めたり、取り組んだりすることを苦手にしている場合が多く見られます。 自分一人で生活することだけを自立と捉えるのではなく、子どもたちの主体性を尊重した関わりや人を頼れるようになる関わりが必要になります。就労支援
自立支援の一環として就労支援も重要な仕事の一つです。 安定して就労が継続できるように心身ともにサポートをします。 また新規の就労先の開拓や、就労先との連絡調整等も行っています。学習支援
入居している子どもたちは高校を中退している場合も多くあります。 就労や自立を目指す過程で、高校卒業資格や職業訓練校等での適切な学びを保証しています。アフターフォローと地域支援
自立援助ホームは 他の社会的養護に関わる施設や関係機関と異なり、15歳から20歳(場合により22歳)までのわずかな期間で、社会での自立した生活を目指さなければなりません。 職員は入居している間、全力で子どもたちを支援していますが、退所後のアフターフォローも欠かすことができません。 必要に応じて就労先や行政機関、医療機関と連携しながら退所後の安定した自立をサポートしています。自立援助ホームの仕事についてより詳しく見る。
参考引用元
全国自立援助ホーム協議会厚生労働省「自立援助ホーム運営指針」
こども家庭庁 厚生労働省資料「児童養護施設等入所児童調査の概要」資料集「社会的養育の推進に向けて(令和5年4月5日)」