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「おじいちゃん」と呼ばれて

日常の様子

児童養護施設

2025/12/15 08:54
「おじいちゃん」と呼ばれて
先日、小学校低学年のAちゃんに、生まれて初めて「おじいちゃん」と呼ばれました
たしかに、私には来春に社会人になる息子がいるので、呼ばれて相応の年齢ではあります
しかし、実際に「おじいちゃん」と呼ばれてみると、
少し前に、母親から「誕生日プレゼント」と称して育毛剤が届けられたことも重なって、
少なからぬショックを受けました

当施設には、スタッフを「おにいさん」「おねえさん」と呼ぶ文化があります
私も入職当初、明らかにおねえさんではないスタッフを「おねえさん」と呼び慣れるまで、それなりの時間を要しました
なので、こどもたちに「おにいさん」でも「おじさん」でもない、「おいちゃん」と呼んでもらおうと考えていた矢先の出来
事でした
Aちゃんは私の想定を軽々と超えてしまったのです

児童福祉の仕事に携わっていると、様々なご家庭のこどもたちと関わりを持ちます
ついこの間、幼児のBちゃんを送迎するために銀杏並木の通りを車で走っていたときに、
「私のこと、いなくなってほしくないって思うの?」と突然問いかけられました
私はギョッとしました
「もちろんだよ、(所属先の)先生たちも、お父さんとお母さんも、みんなあなたに幸せになってもらいたいって思ってるよ。お天道様も、綺麗に色づいている銀杏の木々の一本一本も、みんなあなたのことを応援しているよ」
と、繰り返すのが精一杯でした
私の答えを聞くと、Bちゃんは安心したように鼻歌を歌い始めました

仏教には「四苦八苦」という言葉があります
Bちゃんが、家庭でどのような言葉を投げかけられてきたのかは分かりません
Bちゃんのご家族が、どのような「苦」に向き合ってきたのかは分かりません
思いを巡らしているうちに、私は生まれてこのかた、「苦」というものに直面したことがないことに気が付きました

年齢的には人生の折り返し地点を過ぎました
これからは「恩返し」を念頭におきながら、人に物に事に、行き届いていきたいと思います