社会的養護 総合情報サイト チャボナビ

児童心理治療施設の仕事



児童心理治療援施設の仕事

児童心理治療施設で行われる仕事や必要な職種、関係機関について解説していきます。

◯目次

・児童心理治療援施設の仕事内容
・児童心理治療施設の一日の流れ
・児童心理治療施設で配置される職種
・児童心理治療施設の関係機関


児童心理治療施設の仕事内容

児童心理治療施設に入所は子どもたちは小学生から中学校年齢の子ども達を中心に原則20歳までの子どもたちが対象になります。子ども達の発達特性や心理的な課題を生活の中で治療していく側面が強く、医療機関との連携が特に重要になります。
子どもたちとへの日々の関わりの他に、記録などの事務作業、関係機関との連絡調整や家族支援などのソーシャルワーク業務も重要な役割の一つです。
施設への入所の他に、自宅から通所して治療を行っている場合も有ります。



児童心理治療施設の一日の流れ

児童心理治療施設で生活する子どもたちと職員の一日の大まかな流れについて説明していきます。

6:30(起床、早番職員の出勤)

宿直明けと早番の職員が子どもたちを起こして着替えの声かけやお手伝いをします。
検温を実施し体調に変化がないかを確認します。

7:00(朝食・登校)

栄養バランスが考えられた食事が準備されます。
子ども達の身支度を整え、併設されている学校に通う子どもたちを送り出します。

8:30(日勤者の出勤、引継ぎ)

子どもたちが登校した後に日勤職員が出勤します。
引継ぎを行い、子どもたちの変化やその日の予定を確認します。
引継ぎ後、掃除や洗濯などの家事業務を行っていきます。

10:00(会議、事務作業)

関係機関との会議への参加や連絡調整、記録整理などの事務作業を行います。
通院や面会等で子ども達が外出する場合は職員も一緒に引率します。

12:30(昼食)

子ども達の昼食の時間になります。学校から一度施設に戻り子どもたちと一緒に食事を撮ります。

13:00(遅番職員の出勤)

遅番職員が出勤し、引継ぎを行います。
関係機関とケース会議に出席したり、おやつや食材の買い出しなど、子ども達が帰ってきてから準備をします。

15:30(下校、宿直職員の出勤)

併設されている学校が終わると、子ども達は施設に帰ってきます。
帰宅後はクラブ活動の時間になり、野球や陸上競技などで職員も一緒に汗を流します。
宿直職員が出勤し、引継ぎを行います。

17:00(掃除、入浴)

クラブ活動が終わった後はそれぞれの生活の場に子どもは戻って行きます。掃除が終わった後は身体を清潔に保つために毎日お風呂に入ります。
日勤職員は17:30頃に退勤し帰宅します。

18:00(夕食)

子どもたちの心身の発達を考慮した栄養バランスの取れたあたたかい食事が提供されます。
夕食を食べた後には自由時間になり、ゆっくりと過ごす子どもたちを見守ります。

21:00(小学生の就寝)

安心感を感じながら眠りつけるよう見守りをしながら寝かしつけを行います。

22:00(中学生の就寝、消灯)

子どもたちが眠った後も急な変化や体調不良が起こっていないかを確認する定期的な巡回や、記録などの事務作業を行います。遅番職員は22時頃に帰宅し、宿直職員は施設に泊まって明朝の業務に備えます。



児童心理治療施設で必要な職種

〇保育士、児童指導員

子どもたちと日々関わり、遊びや生活全般を支援する乳児院での養育の中心を担います。
入所している子どもたちの人数に応じて必ず配置されます。

〇医師

児童心理治療施設では入所する子ども達の心理的なケアや治療が必要になる為、精神科医又は小児科医が必ず配置されます。また、病気や感染症の予防、健康管理を含め、入所する子どもたちの健康を維持する役割を担っています。

〇看護師

子どもたちの心身の健康管理や、異常がある場合の適切な対応、服薬管理などを担いま
す。児童心理治療施設に必ず配置されます。

〇個別対応職員

被虐待経験があり特別な対応が必要な子どもへの1対1の個別的な関わりを担います。 
個別対応が可能な職員がいる場合、児童心理治療施設に配置することができます。

〇家庭支援専門相談員

早期の家庭復帰に向けた保護者との連絡調整や面接、退所後のアフターケアなどを担いま
す。家庭復帰支援などを行う場合に児童心理治療施設に配置することができます。

〇心理療法担当職員

虐待などで心に傷を負った子どもや、保護者自身に対して、カウンセリングなどの心理療法を実施し、心の傷を癒していく事を担います。
入所する子どもたちの人数に応じて必ず配置されます。

〇基幹的職員

施設での自立支援計画等の作成や進行管理、職員の指導等を行うスーパーバイザーの役割を担います。都道府県の指定する研修を終了することで任用され児童心理治療施設に配置することができます。

〇小規模グループケア担当職員

施設内で小規模グループケア(1つのユニットやホームで生活する子どもの人数が6人以下)を行う場合に任用され配置することができます。

〇栄養士

栄養バランスの取れた献立を考え、食の面から子どもたちの成長のサポートを担っています。入所する子ども達の人数に応じて必ず配置されます。

〇調理員

子どもたち一人ひとりに合うように食事を工夫する食の面から子どもたちの成長のサポートを担っています。調理を委託する場合や職員が食事を作らない場合に配置することができます。

〇事務員

経理や事務手続き、書類の作成などを行います。
児童養護施設に配置することができます。

〇施設長

施設の長であり、責任者。職員をまとめ、全体の運営の方針を定める役割を担う施設のリーダー的存在です。児童心理治療施設に必ず配置されます。


児童心理治療施設の関係機関

〇児童相談所
乳児院に措置される子どもたちの入所を決定する行政機関です。
保護者との面会や家庭復帰に向けた連絡調整などで協働する機会が多いです。

〇病院等の医療機関

病気になったり怪我をしてしまった時には、職員が付き添います。
児童心理治療施設の支援においては「治療」の側面が大きく、入所中から退所後を含め、医療機関との連携が欠かせません。

〇警察

虐待が発生した際に子どもを保護する機関の一つが警察です。児童相談所と協働して保護を実施し、子どもたちの生命を守ります。

〇市区町村の福祉窓口、保育窓口

児童手当や保険証の手続きなどで児童心理治療施設が立地している市区町村の役所や担当窓口で申請を行います。

〇学校等の教育機関

多くの児童心理治療施設に小学校や中学校が併設されています。退所後を見据えより大きな集団での中で生活に慣れ、社会性を獲得していきます。学校での授業や施設の学習など、学ぶ機会を保障し、学力の向上を図ります。

〇児童養護施設

児童心理治療施設に入所する子どもが退所する年齢に達した際に家庭復帰や里親委託が困難な場合に新たな生活の場として児童養護施設に措置先が変更になります。また、児童養護施設に入所している子どもが児童心理治療施設に措置変更される場合もあり、互いに連携します。

自立援助ホーム

児童自立支援施設を退所した後の生活の場の一つとして自立援助ホームが有ります。
一定額の寮費を納め就労しながら自立を目指して行きます。


参考引用元

全国児童心理治療施設協議会
児童心理治療施設運営指針
児童心理治療施設運営ハンドブック