乳児院の仕事
乳児院で行われる仕事や必要な職種、関係機関について解説していきます。◯目次
・乳児院の仕事内容・乳児院の一日の流れ
・乳児院で必要な職種
・乳児院の関係機関
乳児院の仕事内容
乳児院に入所する子どもたちは生後間もない0歳〜小学校入学前の6歳までの子どもたちが対象です。子どもたちの基本的な信頼関係を育む為の愛着形成や発達段階に合わせた身辺自立を目指した生活支援など日々の関わりの中で育んで行きます。子どもたちとへの日々の関わりの他に、記録などの事務作業、関係機関との連絡調整や家族支援や里親支援などのソーシャルワーク業務など育ちをつなぐことが乳児院の仕事では求められています。
乳児院の一日の流れ
乳児院で生活する子どもたちと職員の一日の大まかな流れについて説明していきます。6:30(起床・早番職員の出勤)
夜勤明けと早番の職員が子どもたちを起こして着替えのお手伝いをします。検温を実施し体調に変化がないかを確認します。
7:00(朝食・登園)
子どもたちの年齢に応じてミルクや離乳食、普通食などが準備されます。職員が身支度を整え、幼稚園に通う子どもたちを送り出します。
8:30(日勤職員の出勤)
子どもたちの登園後に日勤職員が出勤します。引継ぎを行い、子どもたちの変化やその日の予定を確認します。
お掃除や洗濯などの家事業務も子どもたちの動きを見ながら効率よく行います。
10:00(院内保育)
院内で保育活動や余暇活動が始まります。お散歩や遊びなど職員がその日の活動を決めながら子どもたちと関わります。
11:30(昼食)
乳児院に残っている子どもたちが昼食を食べます。職員が見守りや介助をします。12:30(午睡)
睡眠も子どもたちの成長には欠かせません。寝かしつけの際には子どもたちに職員が寄り添います。
15:00(降園、おやつ、夜勤職員の出勤)
幼稚園に通っている子どもたちも帰ってくると楽しいおやつタイムです。夜勤の職員も出勤し始め、その日あった出来事や夜間帯に向けた引継ぎを行います。
16:30(入浴)
子どもたちの身体を清潔に保つために毎日お風呂に入ります。生後間もない子どもたちは職員が1人ずつ沐浴を行います。18:00(夕食)
子どもたちの発達や好みに合わせてあたたかい食事が提供されます。夕食を食べた後には職員は就寝に向けて準備を行いつつ、余暇時間を過ごす子どもたちを見守ります。
20:00(就寝、消灯)
安心感を感じながら眠りつけるよう添い寝や見守りをしながら寝かしつけを行います。子どもたちが眠った後も急な変化や体調不良が起こっていないかを確認する定期的な巡回や、記録などの事務作業を行います。遅番職員は22時頃に帰宅し、夜勤職員は施設に泊まって明朝の業務に備えます。
乳児院で必要な職種
〇保育士、児童指導員
子どもたちと日々関わり、遊びや生活全般を支援する乳児院での養育の中心を担います。入所している子どもたちの人数に応じて必ず配置されます。
〇医師又は嘱託医
病気や感染症の予防、病後児や虚弱児の健康管理を含め、入所する子どもたちの健康を維持する役割を担っています。小児医療の診療に相当の経験を持つ医師又は嘱託医が必ず配置されます。〇看護師
子どもたちの心身の健康管理や、異常がある場合の適切な対応、服薬管理などを担います。入所している子どもたちの人数に応じて必ず配置されます。〇個別対応職員
被虐待経験があり特別な対応が必要な子どもへの1対1の個別的な関わりを担います。乳児院に必ず配置されます。
〇家庭支援専門相談員
早期の家庭復帰に向けた保護者との連絡調整や面接、退所後のアフターケアなどを担います。乳児院に必ず配置されます。〇里親支援専門相談員
児童相談所の里親担当職員などと連携して、施設に入所している子どもたちの里親委託の 推進や里親の新規開拓、研修会や相談対応などを担います。厚生労働省の通知により乳児院に配置することが可能です。
〇心理療法担当職員
虐待などで心に傷を負った子どもや、保護者自身に対して、カウンセリングなどの心理療法を実施し、心の傷を癒していく事を担います。心理療法が必要な子どもまたは保護者が10人以上認められる場合に配置することができます。
〇基幹的職員
施設での自立支援計画等の作成や進行管理、職員の指導等を行うスーパーバイザーの役割を担います。都道府県の指定する研修を終了することで任用され乳児院に配置することができます。〇小規模グループケア担当職員
施設内で小規模グループケア(1つのユニットやホームで生活する子どもの人数が6人以下)を行う場合に任用され配置することができます。〇栄養士
栄養バランスの取れた献立を考え、食の面から子どもたちの成長のサポートを担っています。乳児院に必ず配置されます。〇調理員
子どもたち一人ひとりに合うように食事を工夫する食の面から子どもたちの成長のサポートを担っています。〇事務員
経理や事務手続き、書類の作成などを行います。定員100人未満の乳児院で1名配置することができます。
〇施設長
施設の長であり、責任者。職員をまとめ、全体の運営の方針を定める役割を担う施設のリーダー的存在です。乳児院に必ず配置されます。乳児院の関係機関
〇児童相談所
乳児院に措置される子どもたちの入所を決定する行政機関です。保護者との面会や家庭復帰に向けた連絡調整などで協働する機会が多いです。
〇病院
病気になったり怪我をしてしまった時には、職員が付き添います。乳児院の中には病院に付設されている場合もあります。
〇警察
虐待が発生した際に子どもを保護する機関の一つが警察です。児童相談所と協働して保護を実施し、子どもたちの生命を守ります。〇市区町村の福祉窓口、保育窓口
幼稚園・保育園に通う場合や児童手当や保険証の手続きなどで乳児院が立地している市区町村の役所や担当窓口で申請を行います。〇幼稚園や保育園
一定年齢に達してからはより大きな集団での中で生活に慣れていく社会性を獲得していく 為に幼稚園や保育園に通う場合があります。〇児童養護施設
乳児院に入所する子どもが一定の年齢に達し、家庭復帰や里親委託が困難な場合は新たな 生活の場として児童養護施設に措置先が変更になります。〇里親支援機関
乳児院から里親家庭に委託措置が行われる際に児童相談所と協働します。里親の新規開拓や研修、マッチング等を支援しています。参考引用元
全国乳児福祉協議会「乳児院のしごと」乳児院運営運営指針
乳児院運営ハンドブック