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児童自立支援施設



児童自立支援施設


児童自立支援施設の概要やその役割、入所に至る経緯などを解説していきます。

◯目次

・児童自立支援施設の概要
・児童自立支援施設の入所理由・経緯
・児童自立支援施設の機能・役割

児童自立支援施設の概要

児童自立支援施設は、児童福祉法第44条に基づく児童福祉施設です。
全国に58か所の施設があり、その多くが国立または、公立の施設です。
かつては「教護院」とも呼ばれていましたが、1998年より児童自立支援施設に名称変更となりました。
犯罪や不良行為をしてしまった、またはする恐れのある子ども(=虞犯(ぐはん)少年)と言われる子どもたちが入所、または通所しながら自立を目指す施設です。
18歳までを期限として約1100人の子どもたちが生活しています。



児童自立支援施設の入所理由・経緯

児童自立支援施設への入所理由として犯罪や不良行為の経験や、犯罪や不良行為をするおそれがある子どもたちを保護者が監護することが難しくなってしまったということが多くを占めています。(※監護=何かを監督し、保護することを指す言葉です。ここでは、親権に該当する「監護権(親権に含まれる子どもに関する権利のことで、子どもと共に生活をして日常の世話や教育を行う権利のことを指します。)」を指しています。)
入所する子どもたちの約65%に虐待の経験があり、監護困難の背景要因の一つになっています。
児童自立支援施設への入所はその多くが児童相談所が必要と判断した場合による措置により決定されますが、場合によっては家庭裁判所の審判によって保護処分として送致されることもあります。
また、入所理由としては、「家庭からの直接入所」が多くを占めますが、児童養護施設などの「他の施設からの措置変更」により、入所することもあります。

児童自立支援施設の役割

児童自立支援施設の主な機能・役割についてご説明します。
・生活支援
・学業支援
・アフターケア

どれも児童自立支援施設の機能・役割として大切なものです。
それぞれについて、詳しく説明していきます。

生活支援

児童自立支援施設は職員と児童が共に生活し育ちあう、「共生共育」を基本理念として、その多くは寮舎の中で職員と寝食を共にしていく事で、職員と子どもたちとの関係を密にしながら規則正しい生活を送っています。 清掃を始めとする環境整備や、農作業などを通じて集団の中で自律性や協調性を身に着けて、自立していく力を養っている施設が多くあります。

学業支援

児童自立支援施設の敷地内に施設の近隣の小中学校の分校が併設されており、義務教育に相当する期間の学習環境が保障されています。 家庭での虐待環境など、不適切な養育環境や生育の過程で、一般家庭と同様に学校に通うことができなかった子どもたちも多くいます。 その為、基礎学力の習得を中心に学習を行っています。 学校に行っている時間以外にも学習時間を設けている施設も多く、職員と子どもたちが関係作りをする大切な時間にもなっています。

アフターケア

児童自立支援施設から退所する場合、約6割は家庭に戻り、一般高校に入学したり、就職して行きます。 児童自立支援施設への入所は18歳までとなっていますが、義務教育終了時の年齢までが入所期限になっている施設もあり、地域の児童養護施設に入所先を変更して新しい環境で生活していく場合もあります。 いずれの場合も新しい環境に向けた心構えから始まり、少しずつ退所へむけて準備を進めていきます。 退所後は児童相談所や、他の福祉行政や福祉施設等と定期的に連絡を取り合いながら、退所後の生活の様子を見守っていきます。 必要に応じて相談に応じたり、関係機関と連携しながら支援を行っていきます。


児童自立支援施設の仕事についてより詳しく見る。



参考引用元

全国児童自立支援施設協議会
こども家庭庁 厚生労働省資料「児童養護施設等入所児童調査の概要」資料集「社会的養育の推進に向けて(令和5年4月5日)」