愛着の形成と役割
愛着は、こどもが泣いたり、笑ったりといった欲求やサインに対し、養育者が敏感に察知し、一貫して適切に応え続けるという、日々の相互作用の中で育まれていきます。
安定した愛着が形成されると、こどもは養育者を「安全基地」として、安心して周囲の世界を探索できるようになり、情緒の安定や他者への信頼感の基礎が築かれます。
愛着の問題と社会的養護
乳幼児期に虐待やネグレクト、分離など、養育者から適切な関わりを得られなかった場合、安定した愛着を形成することが困難になります。
その結果、他者とのコミュニケーション不全、感情のコントロールの難しさ、他者の気持ちを理解することの困難さといった課題を抱えることがあります。
社会的養護の現場では、こうした愛着に課題を抱えるこどもたちが、職員の気を引こうとしたり、わざと困らせるようなことをして「本当に自分を見捨てないか」を試す「試し行動」が見られることが少なくありません。これは、こどもなりの必死のSOSであり、関係性を求める行動の表れです。
回復の可能性
愛着の問題は、その後の人生に大きな影響を与えますが、決して手遅れではありません。近年の研究や実践では、児童養護施設の職員や里親など、新たな養育者との間で安定した、信頼できる関係を丁寧に築き直していくことで、こどもは新たな愛着を形成し、心の傷を癒していくことができるとされています。