児童心理治療施設について
児童心理治療施設は、児童福祉法43条の2に規定された児童福祉施設です。心理的問題を抱え、社会生活への適応が困難な満20歳未満の子どもたちを対象として短期間の入所を行ったり、保護者の元から通所し、医療的な視点から、生活支援や心理治療を行っています。
施設に入所する場合は、児童養護施設や乳児院と同様に児童相談所により措置され、入所します。
全国に53の施設がありますが、全ての都道府県に設置されているわけではない為、施設がない県もあります。
名称が変わる前は、「情緒障害児短期治療施設」と呼ばれていましたが、2017年4月の児童福祉法改正に伴い、名称が変更となりました。
児童心理治療施設の入所経緯
約55%が家庭から、次いで約15%の子どもが児童養護施設からの入所になっています。ADHDや脱抑制型対人交流愛着障害、反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)、自閉症スペクトラム等の診断がついていている等、心身に何らかの課題を抱えている子どもたちが約80%以上になります。入所理由としては、保護者による虐待や育児放棄などもありますが、子ども本人の問題による監護困難が約4割を占めています。
※監護=何かを監督し、保護することを指す言葉です。ここでは、親権に該当する「監護権(親権に含まれる子どもに関する権利のことで、子どもと共に生活をして日常の世話や教育を行う権利のことを指します。)」のことを指しています。また、その仕様が困難な状態であることを指します。
児童心理治療施設の仕事内容
- ■心理的治療
児童心理治療施設には、精神科や小児科の医師が配置されており、カウンセリングを用いた心理療法を行っています。
子どもの状態に応じて症状の緩和の為に、服薬による治療も行っています。 - ■生活支援
入所している子どもたちは、学校を始めとする社会集団の中で他者との関係をうまく築けず、適応できなかった経験から傷つき、自信を失っている子どももいます。
職員や他児と寝起きや食事、遊びや作業などを通じて、自立に向けて多くの事を経験し自信を取り戻していきます。 - ■教育支援
近隣の学校や分校、分教室など施設によって形態は様々ですが、教育委員会と連携し学校教育を保障し支援しています。
いずれの場合も通常の学校や学級の単位よりも小規模少人数による教育が行われ、子どもたち個別の力に応じた支援が行われています。 - ■家族、地域との連携
施設での治療が終わり、退所となると家庭や元居た地域に子どもたちは戻っていきます。
退所後の生活がスムーズに移行できるように家族との関係調整や学校との連絡調整も職員の重要な仕事になっています。
参考引用元
参照:全国児童心理治療施設ネットワークHP
参照:厚生労働省HP「児童養護施設等入所児童調査の概要」