施設によって、指導員や保育士が調理をどこまでするのかというのは差があると思いますが、私の施設では栄養士・調理員がいるので、本園では食事はほとんど作ってもらえます。指導員・保育士がやることは、出来ている料理を温めたり、肉や魚を焼いたりという程度です。逆に、地域小規模児童養護施設(GH)では、食事を全て作ります。食材購入も、子どもを連れて近くのスーパーや地域の商店に買い物に行くこともあります。調理をしながら子どもとの関わりも次々と・・・食事作りがあるだけで、時間に追われて大変というのも実感しています。
ですが、食事も子どもの「養育」には欠かせない重要なことだと私は思っています。食事作りが子どもとの関わりのきっかけになったり、どうやって作ったか、何が入っているか等々、食事の時間を通して伝えられることが増えるからです。他にも、遠足のお弁当が美味しかったとか、誕生日には〇〇さんのこのメニューが食べたいとか、食事が子どもの経験として積み重なっているなと感じることも多いです。食事は、後々になって子どもと語れる共通の想い出でもあると思います。食事作りが苦手な職員には、簡単なメニューになるよう配慮して献立を立てています。相談しながら献立を変更することもあります。
一方で、栄養士さん、調理師さんに作ってもらう食事は、とてもおいしく品数も多く、栄養バランスも良いです。自分ではなかなか手作りできないようなメニューも提供してくれます。入所前に食事が十分でないこともあるので、栄養士・調理師と連携しながら食の経験を補うことが必要だと感じます。食事つくりがない分、子どもたちが学校から帰ってきて宿題を丁寧に見てあげたり、話を聞いたり、外で一緒に遊ぶなど、子どもと関わる時間もとることができます。
各々の施設での調理に対する考え方や工夫について聞きながら、自分が職員として子どもたちに何をしてあげたいかを重点に選択されてはいかがでしょうか。(児童養護施設職員A)
食事の提供の仕方については施設により様々です。食事の提供については調理員が調理する場合、職員が調理する場合だけでなく、半調理されたものを職員が盛り付ける場合や一週間の間に土日だけ職員が調理する施設、朝食や土日の昼食など決まったタイミングのみランチルームで食事が提供される施設など、施設に備わっている設備や施設形態により千差万別です。施設の運営上、どちらのほうがより良いとは一概に言えませんが調理する姿を見せることは食育の観点からもとても大切だと思います。また調理だけではなく、スーパーなどに食材を一緒に買いに行くことも社会経験上とても大切になります。また大前提として、養育の質は担保、確保されなければいけませんが、職員も一人の大人であり、人間である姿を見せる意味でもうまくいかない姿や失敗してしまう姿を見せることもできる貴重な生活場面でもあると思います。調理に対して不安感があるお気持ちはとてもよくわかりますが、誰でも最初から上手に料理ができるわけではありません。しかし子どもたちが成長していくのと同様に、経験を積み重ねることで子どもたちの安心安全な生活を作り上げていく事は可能です。食事を職員が作って提供する施設の場合、調理時間中に人を厚く配置する工夫をしたり、日々食事の調理をしない施設でも行事食や手作りでお菓子を作る機会があったりするので、多くの説明会や見学会などに参加して自分に合う形態を探してみてはいかがでしょうか?(児童養護施設職員B)