家族には、本来、心身の安全を守り、お互いを尊重し、こどもの成長を支えるといった機能が備わっています。
しかし、経済的な困窮、心身の病気、社会からの孤立など、様々な要因が複雑に絡み合うことで、こうした機能がうまく働きにくくなっている状態を「機能不全家族」と表現することがあります。
機能不全家族で見られることがある状況の例
・素直な気持ちを話せず、コミュニケーションが極端に少ない、または怒鳴り合いばかりになる。
・こどもが親の愚痴の聞き役になったり、幼いきょうだいの面倒を見たりと、親子の役割が逆転している。
・他の家族が何をしているかに関心がなく、過剰に干渉し合うなど、家族間の適切な境界線があいまいになっている。
こうした環境は、こどもの安心感を損ない、自己肯定感やその後の対人関係に影響を与える可能性があります。しかし大切なのは、家族はいつでも変わる可能性があり、回復できるということです。
誰か一人が悪いのではなく、家族というシステム全体が困難を抱えているのかもしれません。一人で抱え込まず、学校の先生やカウンセラー、地域の相談機関といった専門家のサポートを求めることは、家族が本来持っている力を取り戻すための、とても大切な一歩となります。