入院の要件
医療保護入院は、本人の同意がない場合でも可能ですが、そのためには以下の2つの条件を両方満たす必要があります。
1.精神保健指定医による診察と判断:
精神保健福祉法に基づき国が指定した、経験豊かな専門医(精神保健指定医)1名以上が診察し、「入院による治療が必要」と判断すること。
2.家族等の同意:
本人の配偶者、親権者、扶養義務者、後見人などの「家族等」のうち、いずれか1名が入院に同意すること。(※家族等がいない、または同意が得られない場合は、市町村長の同意が必要となります)
このように、本人の人権に配慮し、医師の専門的判断と、家族などによる保護的な視点の両方に基づいて、入院が決定される仕組みになっています。
他の入院形態との違い
・任意入院: 本人の同意に基づく、最も基本的な入院形態。
・医療保護入院: 本人の同意はないが、指定医の判断+家族等の同意により、本人の医療と保護のために入院する形態。
・措置入院: 自傷他害(自分や他人を傷つける)のおそれが著しい場合に、知事の命令によって行われる、最も強制力の強い入院形態。
・応急入院: 自傷他害のおそれがあるものの、家族等の同意がすぐに得られない場合に、72時間に限り行われる緊急的な入院形態。
・医療保護入院は、措置入院の対象(自傷他害のおそれ)ではないものの、ご自身の病状の認識(病識)が難しく、任意入院ができない方のために、治療が中断しないよう設けられた制度です。
参照:公益社団法人日本精神科病院協会