自傷行為とは
意図的に自分の身体を傷つける行為の総称です。その中で最も知られているのが、手首を傷つける「リストカット」です。ほかにも、腕を傷つける「アームカット」や、物を叩きつけて身体にあざを作る、薬を大量に飲む(オーバードーズ)など、様々な形があります。
行為の背景にある、言葉にできない「つらさ」
最も大切なのは、自傷行為が「問題行動」なのではなく、耐えがたいほどの、つらい気持ちの表現であると理解することです。本人は、以下のような様々な苦しみを抱えている可能性があります。
・不安、孤独、悲しみ、怒りなど、自分では抱えきれない感情を、身体の痛みに置き換えることで何とかしようとしている。
・生きている感覚が希薄になり、痛みを感じることで「生きている」ことを確認しようとしている。
・自分を価値のない存在だと感じ、罰しようとしている。
・言葉で「助けて」と言えない、必死のSOSサイン。
周囲のおとなができること
こどもの自傷行為に気づいたとき、驚き、動揺するのは当然です。しかし、その上で、以下のような対応を心がけることが、こどもの回復への第一歩となります。
・落ち着いて、本人を責めない: 「なぜこんなことをしたの!」と問い詰めたり、叱ったりすることは、こどもをさらに追い詰めます。まずは冷静に、安全を確保してください。
・行為ではなく、心に寄り添う: 傷そのものに注目するのではなく、「それほどつらかったんだね」と、その背景にある心の痛みに寄り添う姿勢が重要です。
・話せる環境をつくり、気持ちを聴く: 無理に聞き出そうとせず、本人が話せるタイミングを待ち、「いつでも聴くよ」というメッセージを伝え続けてください。
・一人で抱えず、専門家とつながる: 学校のスクールカウンセラーや、精神科・心療内科の医師、地域の相談機関など、必ず専門家の力を借りましょう。自傷行為は、専門的なサポートが必要な、心の健康問題のサインです。