具体的な行為の例
以下のような行為が、身体的虐待にあたります。
・殴る、蹴る、叩く、つねる、髪を引っ張る
・物を投げつける
・やけどを負わせる、タバコの火を押し付ける
・首を絞める、溺れさせる
・激しく揺さぶる: 特に乳幼児を激しく揺さぶる行為は、脳に深刻な損傷を与え、死に至ることもある「乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)」を引き起こす、極めて危険な行為です。
・部屋に閉じ込める、身動きが取れないように縛る
「しつけ」との違いと、法律による体罰の禁止
虐待の言い訳として「しつけのつもりだった」という言葉が使われることがあります。しかし、日本の法律は今、その境界線を明確に引いています。
かつて、民法には親が子を戒めるための「懲戒権」という権利が定められていましたが、これが体罰を正当化する口実となりうることが長年問題視されてきました。
このため、まず2020年に児童虐待防止法等で親による体罰が禁止され、さらに2024年4月からは、民法から「懲戒権」の規定そのものが削除されました。
これにより、たとえ親が「しつけ」のためだと考えていても、こどもに身体的な苦痛を与える罰は、いかなる理由があっても許されない虐待であることが、法的に明確にされました。
身体的虐待は、あざや骨折といった身体的な傷だけでなく、こどもの心にも深い傷を残します。自己肯定感の低下や、暴力的な行動、他者を信頼できなくなるといった、その後の人生に深刻な影響を及ぼす可能性があります。