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修徳学院職員インタビュー第2弾!

職員さんインタビュー

児童自立支援施設

2022/03/31 09:18
修徳学院職員インタビュー第2弾!
こんにちは 大阪府立修徳学院です
今回の職員インタビューは富山さんにお話を伺ってきました!

(インタビュアー:スエ)
※大阪府福祉部における個人情報保護の観点から画像は加工させていただいています。

☆富山教母さんプロフィール☆
当学院の施設内学校に養護教諭として赴任し、3年間務める。
その後、寮運営に関心を持ち、児童自立支援専門員の選考を受け、令和元年度に入庁。
現在は夫婦で男子寮の運営に携わっている。

ーー本日はよろしくお願いします。はじめに修徳学院へ来られたきっかけを教えてください。
富山:『修徳学院へは施設内学校の養護教諭として赴任しました。はじめは施設のことも知らなくて、ほんとにゼロからのスタートでした。
一般中学校との違いにも苦戦しながら。3年勤務した後この学院で出会った先生と結婚して流れで・・・笑
この仕事自体はすごく魅力的だなって思いました。大人不信だった子どもたちが少しずつ変わっていって、子どもが自分の力を引き出せる場所っていうのはすごくいいなと思いました。あと、寮長先生・教母さん達がかっこよく見えて憧れたのもきっかけの一つです。』

ーーでは早速質問に移ります!この仕事の魅力について教えてください
富山:『仕事が生活であり、生活が仕事であるとこですかね。
日常を一緒に過ごすことが仕事なので。意外とそういうことができる仕事って少ないのかなって。通勤があって、オンオフがあるのが一般的じゃないですか。
あとは本音で話ができるとこですね。その子の生活をずっと見ているからこそ伝えられることがあるので。例えば学校の先生やと学校での姿しか見られないことが多いと思うんですけど、ここは寮に帰ってからの様子も見られるので腹を割って話せるというか、“お互いの人生が一緒になってる”って感覚がおもしろいなって思います。なんか一見プライベートないんかなって思われるんですけど、私は気にならなくて笑。気楽に素のままでいられる方がこの仕事も楽しめると思います。
変に気合い入れて寮に入るというよりもありのままで自分の弱いとこも子どもに見てもらうのも大事かなって思います。』
スエ:『生活することが仕事になるからこそ、大人がありのままでいることが子どもたちの安心感に繋がりますね。』

ーー子どもたちと接するときに大事にしていることはありますか?
富山:『そうですね、ここにいる子たちは大人不信があったり、嘘やごまかしをしてきたりした子たちが多いので、あんまり人を信用する機会もなかったのかなって。だからこそ修徳で出会う大人の一人として誠実に向き合おうというのは意識しています。お世辞や建前じゃなくて、本音で話したいなって。あとは、子どもたちがここでの生活を頑張っているように私も頑張ろうと思いますね。頑張っている姿を近くで見守っていこうと思うというか。』
スエ:『そばにいる大人として思ったことをちゃんと伝えることは大事ですよね。』
富山:『子どもたちにも何かを伝える機会はたくさんあるんですけど、少し時間が経ったときとかに「あの時ああやったよね」ってお互いに落ち着いて話せるときもあって。そういう時間を重ねて打ち解けられるものもあると思います。
あとは成長のスピードはほんとに子どもそれぞれなので、「この子は今は頑張る力を蓄えてるときなのかな」って。こっちの期待が先走らないように見守る気持ちを忘れちゃダメだなって、気を付けています。ついつい高いレベルを求めてしまいそうになるんですけど、“なんで修徳に来たのか”という土台からしっかり作れるように意識はしています。』
スエ:『子ども一人ひとりの課題や特性が違うからこそ、集団生活の中でも見守る気持ちは必要ですよね。』

ーー夫婦制の楽しさやむずかしさを教えてください
富山:『私が感じる一番の楽しさは子どもたちの親的存在になれるところやなって思います。自分の子どもならどう関わるかなっていう目線はずっと持っています。
あとはここが第二の故郷として安心できる場所で居られることですかね。
寮で指導が続くとしんどさもあるんですけど、夫婦でしているからこそ、そのしんどさを共有できるのはいいなって。指導の方針を相談したり。自分たちの人生が関わっている分、面白さはありますね。』
スエ:『寮の方針の相談はよくされるんですか?』
富山:『めちゃくちゃしますね。休みの日でもついつい子どもの話をすることがよくあります笑。でもそれが苦とかじゃなくて、楽しく考えられています。』
スエ:『お互いの意見を尊重して相談し合えるのは夫婦だからこそのやりやすさがあるのかもしれないですね。
富山:子どもの方針以外ではケンカもしますけどね笑。』
スエ:『それはどこのご家庭でもありますね笑。』

ーー職場の雰囲気はどんなかんじですか?
富山:『皆熱い思いを持っている素敵な大人たちだなって思いますね。寮担当だけじゃなくて、それ以外の立場の人たちもすごく子ども達のことを考えてくれていて。ほんとに活気のある職場だなって思います。
あとは寮運営のhow-toみたいなものはないので、それぞれの寮でカラーが出ていて面白いなって思います。どの子も寮に入ると、“その寮の子っぽくなる”なあって。それも夫婦の温かさに包まれているんやなあって感じます。あとは“困ったときはお互い様”の気持ちが皆さんあって、何か困ったことがあったら助けてくれる職場です。』
スエ:『“その寮の子っぽくなる”というのは面白いですね。家族のような時間を過ごすからこそ感じるんだと思います。』

ーー児童自立支援施設で夫婦小舎制が減っている今、思うことはありますか?
富山:『時代とともに社会的養護の意義とか形も変わっていくと思うんですけど、夫婦制の児童自立支援施設はより必要になってくるんじゃないかなって。昔からあるけど今も変わらず求められている施設なのかなって思います。
面白い仕事だからこそ成り手がいないのはもったいないって思います。特殊な仕事ではあるけど、魅力もたくさんあるので色んな人に知ってもらえたらなあって。もちろん学ぶことも難しいこともあるけど、とにかく飛び込んでいく気持ちがあれば意外とスルっといけるかもって笑。私もここに来るまでは養護教諭として働いていくつもりだったので笑。』
スエ:『何があるか分からないですよね笑。やはり施設の特性上、何でもオープンっていうのは難しいですが、まず知ってもらうことが大事だと感じますね。』

ーー教母さんの1日の仕事を教えてください。
富山:『んー、朝は子ども達が施設内学校に登校するので、「いってらっしゃい」を言っています。「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」は私含め色んな教母さんが大事にしていて。“安心して帰ってこられる場所”を作るのが教母の大事な役割のひとつかなと思います。
あとは食事の用意をしたり、日記の返事を書いたり。片付けの仕方とか、食事のマナーとか。生きていく中で知っていてほしいなってことを伝えています。あとはコミュニケーションが苦手な子も多いので、子ども同士の会話を繋いであげたりとか。何気ない日常を普通に過ごすのが大事かなって。一緒にゆっくりテレビ観るとかも大事な時間だなって思います。そういう雰囲気の時に本音を話してくれることもあるので。子ども達が寮にいない時間は一息つけるので、自分の時間を過ごしていますね。』
スエ:『子どもの気持ちを受け止めてあげる大人がいるというのはすごく大切だと感じます。
富山:こんなん言うて叱るときもあるんですけどね笑。でも指導するときも普段の何気ない時間があるからこそ子どもにも伝わるのかなって思いますね。』
スエ:『それまでの積み重ねがあるからこそ伝わることがありますね。』

ーー子どもとの関わりで印象に残っているエピソードはありますか?
富山:『以前退院生が手紙をくれて、その子はここに来る前は友達がいないと言っていたんですけど、手紙には「高校で友達ができました。先生や教母さんに色んなことを教えてもらったから今がある気がします。幸せに暮らしています。」っていう内容の手紙をもらって。自分たちの仕事ってすぐに結果が見えないし、分からないんだけど、子どもたちがここを出てからの生き方で分かるものがあるのかなって。』
スエ:『そうですよね。10年後20年後にいい顔してくれていたらうれしいですよね。』
富山:『あとは陸上部でがんばって手に入れたゼッケンを私にくれた生徒もいましたね。「たくさん応援してくれたので」って。もらっていいのかなって恐縮するくらいだったんですけど、嬉しかったですね。ほんとに何気ない時間の積み重ねやなって。一番思うのはどの子も色んな言葉を覚えてるなって。自分は何気なくかけた一言でもその子の心に残ってくれてたり。それが教母っていう仕事の魅力かなって思います。』
スエ:『言葉がけひとつが生徒に影響を与えるのは責任でもあり、やりがいでもありますね。』

ーー最後に、チャボナビをご覧の方に一言!
富山:『生活することが仕事なので、仕事とプライベートを完全に切り離せないこともあるんですけど、それがある意味魅力かなって思います。
子どもとずっと一緒にいることが楽しいと思える人は向いていると思います。ぜひ一緒に働けたらなって思います。子どもたちから学ぶこともたくさんあるし、退院した子との繋がりもあるので、“この子たちの大事な人生の一部”を一緒に過ごせたんだなって思いますね。
あとは・・・体力あるといいですね!あと元気と!明るさと!笑』
スエ:『後からたくさん出てきましたね笑。』
本日はありがとうございました!

大阪府立修徳学院(大阪府の児童自立支援施設)のおたより